2020年6月25日放送の「プレバト!」で、過去8年間に詠まれた1719句の中からベスト50+逸材2句の総数52句が発表されました。
ランキングした52句を順位ごとにすべてご紹介!
また、「ランクインした俳句数が一番多い人」や「特待生、挑戦者でランクインしたのは誰か」などもまとめました。
天の句(1位)東国原英夫
花震ふ 富士山 火山性微動
お題は「桜と富士山」。
2018年の第2回俳桜戦の優勝句です。
梅沢富美男さんも「恐れ入りました」と認めた句が、1719句の頂点に立ちました!
「東さんはほんとに発想でぐいぐい攻めてくる人なんだけど、ここまでやられたら負けたなと思ったね」
「とにかく意外性というのが、こういう形で出ることにまず驚きますね」
「(お題の)あの写真から、こういう切り取り方をしながら、写真には現われない震えの小さな動きとか、微動からくる皮膚の揺れる感じとか、ちゃんと添えてくるんですね。うまいもんですね」
意外性のある言葉の組み合わせと、発想を飛ばした句を作るのが東国原さんの強みであり、持ち味だと思います。
東国原さんはタイトル戦に強いので、その積み重ねがランキング1位という偉業につながったのではないでしょうか。
おめでとうございました!
地の句(第2位)梅沢富美男
銀盤の弧の凍りゆく 明けの星
お題は「横浜スケートリンク」。
2017年1月の月間最優秀賞を獲った句ですね。
「技術的にも、表現できている世界も、この2句(人と地の句)は抜きんでていた」
「ほんとに見事なドキュメンタリーの映像というんですかね。それをたった17音でやっちゃってると」
「まあ上手いです。やはり上手いです。悔しいけどしょうがない」
「吠えてるだけのおっちゃんじゃないなと、正直なところ思ってます。技術的な高さというのが、半端じゃないですね。」
プレバト名物と言えば、梅沢さんのビックマウスと、夏井先生との丁々発止のやり取り。
俳句のレベルの高さと、梅沢さんのキャラクターで番組を盛り上げてくれる、立役者ですよね。
永世名人としては1位を獲れなかった悔しさが残ると思います。
その悔しさを、俳句づくりに活かしてもらいたいですね!
梅沢さんの句集が出版される日が楽しみです。
人の句(3~5位)
「人」の句は3句選ばれました。ちょっと意外なあの人もランクイン!段位順に紹介します。
村上健志(フルーツポンチ)
エルメスの騎士像翳りゆき驟雨
銀座のエルメスビルの屋上にある騎士像を詠んだ句ですね。
本人も自分で「かっこよくないですか?」と自画自賛してましたが、とても文学的で本当にかっこいい句だと思います。
「映像の切り取り方というのを完全につかんだなという実感がすごくあった。それが嬉しかったです。この句に出会った時に」
「見上げる視線がしっかりと映像として確保されている。大事な俳人としてのポイントになる句ではないかと思う」
藤原敏史(FUJIWARA)
マンモスの滅んだ理由ソーダ水
これはフジモンの代表作と言える句ですよね。
本当にのびのびと詠んでいる素敵な句だと思います。
「メモリアルな一句。藤本さんはここから更にどんどんどんどん成長していきましたからね。大した男だよ」
「この句は取り合わせという技の基本をしっかりと押さえて、基本通りに言葉を組み立てています」
「定石通り、基本通りにやって見事な世界を描いていく。もう拍手喝采」
皆藤愛子
右肩に枯野の冷気7号車
特待生3級の皆藤愛子さんが、「地」の句に堂々のランクイン!
素晴らしい快挙ですね!
リモートで見ていた他の名人たちも「え?皆藤さん?」と驚いてました。
本人も「何で?嘘?ビックリする。ほんとですか?」と驚嘆し、笑顔で涙ぐんでましたね。
何気ない俳句に思えますが、先生は大絶賛していました。
「描き方が非常に五感にきちんと訴えてくるというか、五感を再生してくれる、そういう力をもった句」
「詠んだ瞬間に、7号車に座っている自分の車窓から、1号車がカーブを描いて先に走っている、その光景まで見えてきましたね。うわー、いい句だわ、皆藤さん。素直な人なんでしょうね、学ぶということに」
秀逸句(15句)
ここからは、秀逸句15句をご紹介。段位順に載せています。
梅沢富美男(永世名人)
梅沢さんは2句が秀逸句に!
旱星(ひでりぼし)ラジオは余震しらせおり
(第2回炎帝戦の優勝句)
廃村のポストに小鳥来て夜明け
(第2回金秋戦の優勝句)
東国原英夫(名人10段★★★)
タイトル戦の優勝句が3つ秀逸句に選ばれました。
野良犬の吠える沼尻花筏
(第1回俳桜戦の優勝句)
凍蠅よ生産性の我にあるや
(第2回冬麗戦の優勝句)
まるでシンバル移り来し街余寒
(第4回春光戦の優勝句)
村上健志(名人10段★★)
マスクの句が秀逸句になったことについて、「代表作なので、もっと上でいいと思う」と村上さんご本人は、ちょっと不満そうでした。
でも「人」にエルメスの句が入ったので、全体としてはバランスが取れているかなと感じます。
テーブルに君の丸みのマスクかな
行間に次頁の影夕立晴
(第3回炎帝戦の優勝句)
藤本敏史(名人10段)
羊の句が秀逸句に選ばれて、「来た!これ好き。改めてみてもいい俳句だなと思います」とフジモン。
自分でも好きな句なんですね。
よく見たら、どちらも動物の句でした。
羊群の最後はすすき持つ少年
セイウチの麻酔の効き目夏の空
中田喜子(名人4段)
中田さんは、やはりこの句が秀逸句に選ばれました。
連覇のさきぶれ沸き立つ初電車
「この人に関しては毎回感心します。俳句というものが生活の中に完全に入っている、生きているんだと思います」
中田さん、秀逸句に選ばれて「おっほっほっほ」と笑いが止まりませんでした。
朝4時から俳句をつくる頑張り屋さん。
努力が実ってよかったです。おめでとうございます。
横尾渉(Kis-My-Ft2)(名人4段)
庖丁始 都心は 計画運休
「“計画運休”なんて、およそ詩になりそうにもない言葉を取り合わせてきて、ちゃんと詩にしていく。これが名人ですね」
秀逸句に選ばれて横尾君、思わずガッツポーズでしたね!
冬麗戦で優勝した横尾君を、千賀君が泣きながら「嬉しい」と祝福していた姿も、再度放送されました。
仲間想いの千賀君、ほんとに素敵ですね。
千賀健永(Kis-My-Ft2)(名人2段)
雪原や星を指す大樹の骸
(第1回冬麗戦の優勝句)
千賀くんと言えば、この句ですよね。
「いつこんな句ができる子になったんだろうと思って驚きました」
「一語一語出てくるたびに少しずつ光景が動きながら、清浄とした冷たい世界の中に、大樹と星とか美しい絵画のように一枚に入っていく。お見事だと思います。しかも調べが五・五・七。この調べが実は美しい緊張感を一句の中に編み出しているんですね。勉強したことを丁寧によくやった」
「頑張った子は偉い!本当に偉い!」
夏井先生に褒めちぎられて、冬麗戦で千賀くんがボロ泣きしてましたね。
柴田理恵(特待生3級)
もてなしの豆腐ぶら下げ風の盆
「風の盆」が季語で、富山県と越中八尾のお祭りですね。
俳人にとって、この季語を詠むのは憧れだと夏井先生が以前コメントしてました。
富山出身の柴田さんならではの、実体験を活かした句が堂々の秀逸句にランクインしました。
鈴木光(特待生3級)
道化師のギャロップのごと牧開(まきびらき)
「洋画のような感じで見えてくる。大した子が出てきたもんだなと思いましたね」
「道化師のギャロップ」というのはカバレフスキー作曲のクラッシックですね。
運動会の徒競走とかでBGMでよく使われるので、誰もが聞いたことがある曲だと思います。
春の牧開きで、羊が小屋から一斉に駆け出す様子を、「道化師のギャロップのごと」で表現したそうです。
東国原さんが「秀才」と評しましたが、さすが東大生という感じがします。
春風亭昇吉(特待生5級)
万緑に提げて遺品の紙袋
「季語と物とで勝負してくる。本物が来たよと思いましたね」
春風亭昇吉さんも東大卒のインテリ落語家。
特待生の上のクラスでも入選していない人がいることを思えば、5級での秀逸句ランクインは、快挙ではないでしょうか。
優秀句(30句)
梅沢富美男(永世名人)
さすが永世名人、4句も優秀句となりました。
花粉来て獺の祭りのごとちり紙
水やりはシジミ蝶起こさぬように
鯉やはらか喜雨に水輪の十重二十重
(第3回炎帝戦の優勝句)
花束の出来る工程春深し
梅沢さんは、季語の選び方がすごいですよね。
やはり芸能の仕事の中で、感性が鍛えられてきた人という感じが強くします。
※獺の句について
「この句と出会った時に、かすかな尊敬の念を抱いた」「玄人の句」
東国原英夫(名人10段★★★)
タイトル戦での優勝回数が多いので、やはりランクインする句数も多いですね。
紅葉燃ゆ石見銀山処刑場
(第1回金秋戦の優勝句)
信号の点滅は稲妻への合図
(第3回金秋戦の優勝句)
春深し象舎の壁の罅(ひび)長く
村上健志(名人10段★★)
村上さんも入選句数は多いですが、タイトル戦ではなく通常の放送回の句が多くランクイン。
毎回、半径数メートルの日常を詠むのが村上さんのスタイルですよね。
給茶機の上の軋めく扇風機
抜型を重ねて仕事納めかな
観覧車の列に春ショールの教師
サイフォンに潰れる炎花の雨
(第3回春光戦の優勝句)
藤原敏史(FUJIWARA)(名人10段)
1DK八重桜まで徒歩二分
(第4回春光戦決勝の2位)
不動産屋の物件案内をそのまま詠んだかのような句。
駅ではなく「八重桜まで」というのが情緒的で素敵ですね。
17音でこれだけの情報が入れられるって、驚きです。
中田喜子(名人4段)
光束ねるごと日焼子ら走る
「とき」発車旅憂わしき花追風
タイトル戦の予選では、割と苦戦することが多い中田さん。
予選落ちして驚く顔が、火サスのようになったりして、よくいじられています。
そんな中田さんが優秀句に2句ランクイン。
俳句をつくる励みになったのではないでしょうか。
横尾渉(Kis-My-Ft2)(名人4段)
中田さんと同じく名人4段の横尾君は、3句が優秀句に。
許されて寺の笹切る星祭
籐椅子の脚もとにある水平線
ひまわりや廃線沿いのラーメン屋
キスマイのメンバーが集まると、いつも俳句の話をしているそうです。
みんな努力家ですね。
千賀健永(Kis-My-Ft2)(名人2段)
黒き地の正体は海揚花火
2015年からプレバトに参加している千賀くん。
またタイトル戦で優勝して、泣いて喜ぶ姿を見たいですね。
立川志らく(名人2段)
色変えぬ松や渋沢栄一像
「覚悟と意思をもって、ふたつのものを取り合わせる。まさにこれが俳句の基本」
立川志らくさんは、特待生3級の鈴木光さんを「天敵」と呼ぶことがあります。
タイトル戦の予選で順位が下になることが割とあるんですよね。
今回のベスト50でも、鈴木光さんが秀逸句に入ったので、ちょっと悔しがってるかもしれませんね。
千原ジュニア(名人初段)
夏井先生が「真面目にコツコツ頑張っている」とよく褒める千原さんは、2句が優秀句にランクイン。
ナナハンの句が入るかなと思いましたが、こちらでしたね。
御出席の 葉書投函 秋日和
ヘビメタの担ぐギターと破魔矢かな
石田明(NON STYLE)(特待生1級)
特待生の石田さんは2句が入選し、大喜びでしたね。
どちらもリズム感のある句でした。
紅葉ふるコントラバスを弾くはやさ
喧騒の溽暑走り抜け潮騒
(第1回炎帝戦で2位)
紅葉の句については、夏井先生から次のようなコメントがつきました。
「ここからさらに何か違ったものになる気がした。動きの対比がさりげなく出ている」
「本当に素敵な句。紅葉を主役にするための仕掛けがちゃんと戻ってくる。この句にはささやかな感動をおぼえた」
今回の入選を励みに、これからも素敵な俳句を詠んでくれそうで、楽しみですね。
松岡充(特待生1級)
山笑う赤ちゃん象に哺乳瓶
特待生の松岡さんは、とっても楽しいこちらの句がランクイン。
ミッツ・マングローブ(特待生1級)
吊り革の師走遠心力に耐へ
艶っぽい句が多いイメージのミッツさんは、こちらの句がランクイン。
三遊亭円楽(特待生1級)
町会長犬を預かる盆踊り
円楽さんは、プレバトでこれまでに詠んだ16句の中からこちらが入選。
北山宏光(Kis-My-Ft2)(特待生4級)
手袋を外して撫でる猫の喉
いつも番組を盛り上げてくれる北山くん。
何度も「良かった」と言って、本当に嬉しそうでしたね!
ちゃんと句がランクインして良かったです。
「場面が良い。この子は何かつかんでくれたと思った」
「これはほんとに良い句。一枚の映像として全部見えてくる。猫好きの人たちの行動のリアリティが全部入ってる。これは褒める」
武田鉄矢(平場)
あじさいや三日続けて昼は蕎麦
数いる平場の挑戦者の中から、武田鉄矢さんが優秀句に!
「俳句の方をきちんとおさえている。肩の力がどこにも入っていない」
「非常にさりげない光景をさらっと書いているだけだが、味がある」
「どうでもいいことも、あじさいという季語を信じると、詩になる。なかなか詩心をもった方」
筒井真理子(平場)
向日葵の波に逆らひ兄逝きぬ
筒井真理子さんが、初めてプレバトに出演した時の俳句がランクイン!
83点と、かなりの高得点でした。
藤井隆(平場)
6の次7の菜の花漕ぐペダル
藤井さんも初めてプレバトで詠んだ句が優秀句に!
「中七の展開がいい」と褒められ73点をとりました。
逸材(2句)
ベスト50のランク外ではありますが、特別賞という感じで2句が「逸材」とされました。
的場浩司(平場)
職質をするもされるも着膨れて
「冬の新宿駅」がお題だった時に詠んだ句が選出!
「これもおもしろかった。実体験だからかけたんだな、この生々しい現場があったんだなと思いました」
懐かしの「ビーバップハイスクール」の撮影をしていた頃の実体験だったそうです。
鈴木亮平(平場)
雑煮の香雨の銀座の生中継
2020年新春の番組対抗戦で、「テセウスの船」チームとして、竹内涼真さんと出ていた放送回の句ですね。
初出場で1度だけ詠んだ句が「逸材」に選ばれるって、すごいですね。
「ほんとに良くできている。季語の活かし方が非常に巧み」
一番多く俳句がランクインしたのは誰?
数えてみたところ、7句ランクインした人が3人いました。
梅沢富美男さん(永世名人)
地の句:1句
秀逸句:2句
優秀句:4句
東国原英夫さん(名人10段★★★)
天の句:1句
秀逸句:3句
優秀句:3句
村上健志(名人10段★★)
人の句:1句
秀逸句:2句
優秀句:4句
さすが名人10段以上は違いますね。
2020年6月11日時点で、梅沢さんが詠んだ句は101句、東国原さんは58句、村上さんは46句です。
それを思うと、村上さんは善戦したと言えるかもしれませんね。
特待生でランクインしたのは誰?
17人いる特待生でベスト50に選出されたのは、8人。
特に3級組は大奮闘した感があります。
特待生1級
松岡充さん(優秀句)
ミッツ・マングローブさん(優秀句)
三遊亭円楽さん(優秀句)
特待生3級
皆藤愛子さん(人の句)
柴田理恵さん(秀逸句)
鈴木光さん(秀逸句)
特待生4級
北山宏光(Kis-My-Ft2)(優秀句)
特待生5級
春風亭昇吉さん(秀逸句)
「平場」でランクインしたのは誰?
名人でも特待生でもない、「平場」の人でランクインしたのは、3人。
武田鉄矢さん、向井真理子さん、藤井隆さん。
みなさん優秀句に選ばれました!素晴らしいですね。
まとめ
8年間で詠んだ1719句のベスト50+逸材2句の52句をすべてご紹介しました!
夏井先生が本にしてもいいんじゃないかと言ってましたが、出版されるといいですね。